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もとひこは、公園から逃げ出した後にことでん片原町駅の裏手にあります露地へ行きまして、ダフ屋の男に会いに行ったのでありました。
永池は、先回りをしましてダフ屋の男ともとひこが合流するのを待っていたのでありました。
時計のはりは、夕方5時を少し過ぎていました。
表通りでは、仕事を終えて帰宅へ向かうサラリーマンたちやOLさんたちが通りを行き来していました。
商店街の看板と街灯の灯りがぽつりぽつりと灯りまして、夜へ向かおうとしていたのでありました。
通りのスピーカーからは、宇都宮さだしさんの歌で『サダシのサンバ』が流れていました。
その時でありましたが、永池はもとひこがダフ屋の男と落ち合うのを待っていました。
先回りをしてから15分後に、もとひこがダフ屋の男と会いました。
「もとひこか…」
「ひさしぶりだな…」
「ああ…」
「あんたの親分が経営しているブルセラショップ…もうかっているかい?」
「まあ、ぼちぼちかな…」
「もし、何だったら…うまい話を持って来たぜ…」
「うまい話か…」
「ああ…あんたが泣いて喜ぶアイテムを持って来たぜ…」
「泣いて喜ぶアイテムだと…」
「そうだ…」
この時、もとひこはカバンを開けまして男に中身を見せたのでありました。
永池は、その様子をスマホのカメラで隠し撮りをしていたのでありました。
ダフ屋の男は、ニタニタした表情で見つめながらこの下着はどこで手にいれたのだともとひこに聞いていました。
もとひこは、ふみかがいる中学校の女子生徒が着ていた下着と言いましたので、ダフ屋の男はさらにニタニタとした表情でこう言ったのでありました。
「そうか…よくやったな…」
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