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「芹沢さん、新見君。
待っていたよ。」
柔らかい物腰で近藤が芹沢さんと俺を呼びかける。
「ああ、すまない。
近藤達にも迷惑をかけたな。」
俺は申し訳なさで謝罪をする。
「新見君謝ることはないよ。
我らは仲間で同じ目的のため遥々京に来たのだ。
仲間が倒れたと聞かされたら心配にもなるというものだ。」
「そうですよ、新見君。
あんまり豪勢に祝うことはできませんが今このときを楽しむのもよきものです。」
二人の気持ちが嬉しく思わず口元に笑みを浮かべそうになった。
「さあ、皆。
楽しみにしていた膳の準備ができたよ。」
と、全員に話しかける声。
俺が声が聞こえた方を見てみれば、井上源三郎がニコニコと優しげに微笑んでいる。
確か歳は35歳だったはず。
落ち着いた雰囲気が人柄の良さを物語っていた。
「源さん、ちょうど腹が空いてきていたとこなんだ。」
と、近藤が井上を見て顔を輝かせた。
「話が楽しいのはわかるけど、もう夕餉だ。
膳はもう準備できてるから、早く食べないと食い逸れるぞ」
どうやら井上はそれを言うために話かけたらしい。
俺が辺りを見てみたら、いつの間にか、料理が乗せられた膳がたくさん並べてあった。
もう夕餉を食べている奴もいる。
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