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『新見......』
ん?
『新見......』
この声は芹沢さん?
俺は過去に戻ったのか?
俺は瞼をゆっくり開けた。
「新見、漸く気づいたか。」
声のする方を見ると、俺の枕元の隣に芹沢さんが座っていた。
手には濡れている手拭いを持っていた。
それで俺の意識が戻るまで待っていてくれたのか。
ギラリと鋭い眼光で大男の芹沢鴨。
「せ、芹沢さん、此所は?」
嗄れた声で芹沢さんに言った。
「声が嗄れておるな。
ふぅ、此所は壬生浪士組の屯所だ。」
芹沢さんは俺の額に湿った手拭いを置きながら言った。
「江戸からの長い道のりに過労が溜まっていたのだろう。
京に着いた瞬間倒れたのだ。」
そうか。
神さんはこの設定で俺を生き返らしたのか。
だとすると今は文久三年の2月か?
「新見。」
芹沢さんの呼びかけに視線を芹沢さんに合わせた。
「何故無茶をした。
一言俺に言えばよかったのだ。
一言言えば倒れる事もなかっただろう。」
心配した顔の芹沢さんがいた。
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