帰国

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朝起きてすぐに、黒い油性ペンを手に持ち、部屋の壁にかかったカレンダーの28日のところにバツの印を書く。 「あと3日だ」 指折り数えてカウントダウンし始めて、2週間。 再会のシーンを思い浮かべるだけで、自然と顔がにやけてしまって、気を引き締めないと仕事にもならない。 「仕事仕事!」 無理やりつぶやきながら私は、会社に向かった。 達己から帰国の準備は終わったという連絡はもらった。 いくつかあった荷物は船便で既に私の家に向かっているらしい。 達己の荷物を家に入れたら、二人で住むには狭すぎる。 新居も考えないと。 すれ違った会社員が私の顔をちらっと見ていく。 カフェのガラス窓に映った私の顔がにやけてる。 慌てて顔を引き締めた。
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