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まだ部長にも言っていないけど、ここのところずっと浮かれていたし、理沙との話を誰かに聞かれたってことも十分ありうる。
でも、あることないこと囁かれて、陰口を言われるのは嫌だ。
左手薬指の指輪をそっとさする。
誰が見ても結婚指輪に見える達己とお揃いのシンプルなプラチナリング。
「きっと優奈と森川くんの間に入り込むことなんてできないって言う決定的な証拠を見せつけるまでは、諦めきれない人もたくさんいるよ?
私は会社にいるときの森川くんしか知らないけど、あの頃の森川くんなら、彼女がいても来るもの拒まずだったからね」
達己は全部手を切ったつもりでいても、すぐに相手の気持ちが切り替わるわけじゃない。
会社を辞めたからといっても、またこの街に住むとなったら、会おうと思えばいつでも会えるわけだし。
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