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「珠……」
蒼王子はうつむいてポツリと言いました。
「悪かったよ。愛情表現がわからないんだ。俺の心は凍てついていて、珠に出会って初めて愛しいと想う気持ちを知った」
蒼王子は床に散らばった氷の薔薇を集めて立ち上がりました。
そして「また来る」と言って、静かにドアから出ていきました。
バタンとドアが閉まった後、蓮がにやりと笑って言いました。
「……背中が泣いてたわね」
蘭が続きました。
「ほんと、珠のことが好きなのね。なーんでこんな男か女かわかんないような妹がいいのかしら。三姉妹で1番野蛮なのは珠よ」
「躊躇なく顔面蹴り飛ばした奴が言うセリフかよ!」
珠な突っ込むと、蘭は「仕方ないじゃない」としれっと言いました。
「口より先に手足が出るのは赤の国の民の戦闘本能よ。止められないの、理性ではね」
蘭の眼がギラリと光りました。
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