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でもまたなんで、お金持ちなのに名もない壺がお気に入りなんだか…。
ものの価値は格や値段じゃないのね、きっと。
「で、今日がデートの日っていうのは本当なんでしょうね?」
((ええ、もちろん。娘の予定は全て執事が把握してます。生前、娘の予定は私に報告するのが執事の決まりでした。その決まりは、今も仏前で行われています))
…なんだか、お金持ちも大変そうだ。
『ギギギ』
鉄柵がオートメーションで開きます。
((OH,マイベイビー))
門の中からは昨日のお譲さんが。執事を添えて。
そんな金持ち、って恰好じゃないんだけどな。
どっちかってーと素朴な感じ。
人は見た目じゃ判断できないね。
僕は顔割れしてるので、そそくさと電信柱の影に隠れます。
『ブオン』
やってきたのはスポーツカー。
「お待たせっ」
超絶さわやかナイスルックガイ!!
さわやかに登場!
「待った?」
「いいえ、まってないわ大丈夫よ」
「ほんと?」
「うそ。もう昨日の夜から待ち遠しくて」
「それを言うなら僕は先週、君と別れてからずっと待ち遠しいよ」
「もう、ずるいー。でもうれしっ。きゃっ」
…なんじゃこりゃ。
((・・・・。))
これは逆効果だったかな…。
「それじゃ、行こうか」
「ええ。山田、いってきますわね」
執事に告げると車に乗り込む。
『ブオオン』
っておい、車とか聞いてないし。
どうすんの?
『プップー』
都合よく登場してくれました、ヘイ、タクシー。
「どちらまで?」
どちらまで?は僕が聞きたいよ…
「あの車を追ってください」
お財布持つかな…
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やってきました遊園地。
高速乗って1時間半。
「お支払は?」
「カードで…」
((はやくはやく))
まってくれよ…。今僕は猛烈に悲しいんだ。
チケット売り場。
「カードで…」
((はやくはやく))
まってくれって。超絶、悲しいんだから。
園内。彼氏は彼女を優しくエスコート。
ジェットコースターにコーヒーカップ。
彼女をベンチに待たせて、並んで買ったはソフトクリーム。
「やだー、たくちゃん。口の横、ついてるよ」
(ゆびで掬って)『ペロ』
「わ、ごめん」
「うふふ…」
なかむつましいじゃあないですかー(棒読み)
お化け屋敷にアシカショー。
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