2話。 《おやごころ》

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余談。 お化け屋敷のお化けって、本物より怖いよねー。 本筋。 「次は観覧車乗りたいな」 「オーケー」 ((あかん!観覧車はあかん!密室!あかん!おい、与一郎!乗るぞ)) えー。 はためから見たらひとりで観覧車。 はためからじゃなくてもオッサンと二人で観覧車ってどうよ…。 「次の方、どうぞー(くすくす)」 ・・・。 聞こえたぞ、心の声が。 そんな能力は持ってないけどたしかに聞こえた。 ((うぎゃー!わーーーー、キャー!!)) なんだなんだ?キスでもしたか? 「どうしました?」 ((高い、高いよーー)) そうだ、高所恐怖症とかいってましたね、お父様。 お化けにも怖いものってあるんですね。 結局、僕らのゴンドラから見える範囲では、何事(キスとか)もなく、その後も終始和やかなムードで終えました。 帰りのタクシー。もうすぐおうち。 夕食を園内のレストランで済ませてくれた事がせめてもの救い。 これで高級レストランなんて行かれた日には破産ですよ。 「いやー、彼氏さん、いい人でしたね~。イケメンですし」 携帯を構えて電話してるふりで話します。 ((・・・あやしい)) 「いやいや、携帯かまえてるんで大丈夫だと思うんですけど」 ((・・・違う。あの男、あやしい)) 「ああ、そっちですか。僕にはいい人にしか見えませんでしたけど?」 ((これはデートだよ?君ならこの後どうするね?)) 「家まで送り届けて、次のデートの約束をする、ですか?」 ((違う。年頃の男女がしそうなことが他にあるだろう)) 「そうですね…、ホテルでも行きますかね」 あまり、デートというのをしたことはないが、そんな感じ? ((ぬあーーー(怒))) 「わー、違いましたか。すみません」 ((いや、その通りだ。私ならそうする。仮にそうしないとしてもだ、観覧車でキスくらいはするだろう)) 「キスくらいなら、車の中でしてるかもしれませんよ」 ((ぬ・・・)) 「まあ、いいじゃないですか。きっと大事にする人なんですよ、そういうの」 もういいじゃないですか。納得してくださいよ、疲れたし…。 ((…どうもそうとは思えんのだ)) …そうなんですかね? 「じゃあどうします?」 ((もう少しお付き合いねがえませぬか)) ええー… ((でなければ、毎晩『ザキ』を唱えるぞ)) 「いや、効かないですよ」 ((効かなくとも毎晩唱えるぞ。うるさいぞ~))
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