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・・・。
確かにいやだ。
実際に”呪い”の多くはこうして言葉攻めでノイローゼを誘発させている。
「わかりましたよ…」
((さすが!よ!大将!かっこいい!!))
「で、どうすればいいんですか?」
((男を追ってください))
車で帰る男をお金がかかるタクシーで?
すでに十分に呪われている気がする…
「それじゃ、またねっ」
「ええ。ごきげんよう」
豪邸の前でレディーを下したスーパーカーは、
また豪快なエンジン音を響かせながら動き出す。
「すみません、前の車を追ってください」
「はい、かしこまりました~」
「お願いします」
お願いします…。
どうか、近くに住んでいてください。
車中。
((私は、娘を箱に入れて育てました))
でしょうね。
((箱と言っても段ボールじゃありませんよ?シルバー製の箱で、宝石を散りばめていました))
はあ?
((冗談です))
金持ちジョーク。
ついていくには経験がいりそうだ。
「は、は、は」
((それでですね、それが良くないってことも分かっていたんです))
かってに懺悔モード。
((解放してあげた方があの娘のためだと。でも、できなかった))
・・・。
((心配で、心配で。心配でしょうがない))
まぁ、親ですからね。
((いずれはちゃんと解放してあげよう。でも、せめて、せめて二十歳になるまでは。それまでは、と))
…え?
二十歳になるまでは?
あの娘まだ未成年なの??
((ダメですよね、娘の人生なのに))
いや、未成年ならそこまでダメってほどでもないかも…
((歳とってからできた子供だからかもしれません。門限は12時だ、帰りが遅くなる時は連絡を入れなさい、なんだかんだとうるさくいいました))
いや、わりと普通かも。
((もう、この歳になると、普通はどう育てているのかわからないのです))
いや、お金持ちの割に、なかなか普通に育てていると思います。
((あの子は昨日で二十歳になりました。私は、自分で決めた約束を破っています。でも、どうか、今回だけは最後まで見届けさせてください))
…はぁ、やれやれ。
「お父さん。お譲さんはいい娘に育ってますよ」
((そうでしょうか))
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