番外編③《ポン吉の一日》

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12月。 天気に恵まれたとある日。 時刻は正午過ぎ。 店の前には、2体のタヌキの置物。 「ねえ、ポン吉。何してるの?」 一体は本物の有田焼の置物。 もう一体は変化したポン吉。 朝からずっとこうしてる…。 「人間観察」 ほう…。 「それで、なにかわかった?」 「うーん。人間って不思議だよね~」 「何が?」 「そうねぇ…」 おっとお客さん。 「いらっしゃいませ~」 置物と話しているところを見られるわけにはいかないからね。 話は中断。 ・・・ 「ありがとうございました~」 午後3時。 ポン吉はまだ人間観察。 「まだやってるの?」 「うん」 「ふーん…」 よっこいしょ、と、ポン吉の隣に椅子を置き、腰かける。 「旦那?」 「今日は天気がいいからね。僕も日向ぼっこする事にしたよ」 「ほえ~。お暇ですなぁ」 「・・・。」 朝からこうしている君に言われたくはないよね。 と言っている間に、数人の人が通り抜ける。 あまり、この通りは人通りが多くはない。 それでも、昼を過ぎると、買い物に向かうであろう主婦や、訪問営業にひた走るサラリーマン。学校帰りの中高生などがちらほら通りかかる。
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