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人間観察、ねぇ。
こうやって見ると、そうねぇ。
人間ってなんの為に生きているんだろう。
住宅街だからかな。
この辺を歩く人の最終目的地は、ほとんどが家庭であると推測される。
パパ、今日は何を食べたいって言うかしら…。
なんて考えながらスーパーへ向かう奥さん。
今日のごはん、なんだろな?
なんて話しながらお家に帰る子供たち。
急いで夕飯の支度しなきゃ、なんて足を速めるお母さん。
サラリーマンでさえ、食費を稼ぐ為に奔走しているように見えてくる。
…。
あ、そうか。
お腹減ってるんだな、僕。
「ねぇ、ポン吉、なにかわかった?」
「うん。わかったよ」
へぇ。えらいな、ポン吉は。
ご飯の事考えてる僕とは大違いだ。
「なになに?」
「人間はね…」
うんうん。
「ミミズとどんぐりが嫌いみたいだ」
「え?どういう事?」
「こないだね、旦那さんがおいしそうに春乃さんのおかゆ食べるの見てて、思ったんだ。もしかしたらミミズとどんぐりが嫌いなんじゃないかって」
「え、えっと…」
うん、ポン吉も食べ物のことだった。
「でね、確かめてたの」
「ど、どうやって?」
「ほら見て、向こう側」
通りを挟んで反対側。
お皿の上に載ったミミズとどんぐり。
そして、かろうじて読めるひらがなの文字。
“ごじゆうにどうぞ。おめしあがりください”
…。
「みんな、見ても食べようとしないんだ。あんなにおいしそうなのに」
あ、あの…。
「で、わかったの。人間はミミズとどんぐりは食べないんだ」
「・・・。」
ミミズとどんぐりを食べるどうこうの前に…、道端に置いてあるものを食べませんよ?
「違う?」
「え、えっと、そうだね…」
「ほら、やっぱりね。僕の観察は正しかった。一つまた人間を理解したよ」
…。
まあ、導き出した答えは間違ってないから、いっか。
『ポンッ』
「あー、お腹へった。ごちそうを目の前にじっと我慢してたから、辛かったなー」
といって、ミミズとどんぐりをむさぼるタヌキ。
…。
あー、お腹減った。
夕飯にしよっと。
おしまい。
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