72人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
てなドタバタがありつつも、準備は整い試食会。
与吉姿のポン吉も交えてティーパーティー。
ミックスベリームースをビターチョコでコーティング。
その上を雪をイメージしたホワイトチョコのパウダーが覆い、飾り付けにクランベリーとアーモンドスライスが上品に腰を下ろす。
うん。おいしい。
「紅茶が良く合うね」
「ええ。とってもおいしい」
あっという間に平らげる僕とポン吉。
対照的に少しずつ味わう美代子さん。
ポン吉は食べ終えるとさっさと寝る始末。
美代子さんはさすが女子。
食べ終えてもトークがとまらない。
ほんと、最初の印象とは全然違って、仲良くなるとよく喋るんタイプなんだよね、美代子さんって。
「おっと、そろそろお父さんとお話ししなきゃじゃない?」
僕らの間では、もうこの壺の事を“お父さん”と呼んでいる。
「あら、本当だわ。もうこんな時間」
親子水入らずのトークタイム。
僕はポン吉を抱え、親父殿にも目配せで合図をし、部屋を退出。
そういやうちは、親父と二人きりで語り合う事、しばらくしてないな…。
((やい、与一坊。さんざ油売りやがったんだ。次は気合いれて商品売りやがれ))
まぁ、日頃、こううるさいとさ。時間ができたら一人になりたくなっちゃうんよね…。
「すみません、ありがとうございました」
「おすみですか?」
「ええ」
いつもより、ちょっと長めだったかな。
『キキッ』
見計らったかのように自家用車が到着。
「お嬢様…」
執事の山田さん。
「それでは、黄昏さん。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
山田さんがいると、お嬢様って感じがする。
一人の時はそこまでお嬢様って感じはしないけど、程よく上品でおしとやかな感じ。
いい子だよね。
坪井のお父さん。
育て方、間違ってませんでしたよ。
最初のコメントを投稿しよう!