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― 出納帳 ―
今回の出入り。
・囲碁入門書 ‐1,680円
あの夜、親父どのとポン吉と僕とで、別れを惜しみながら酒を酌み交わしました。
と、いっても下戸の僕はちょびっとだけ。
大酒食らいだったのはポン吉。
泣いたり、笑ったり、忙しい酔い方でしたが、おかげ様で楽しい酒宴になりました。
そいや、狸の置物もお酒持ってるもんね。
よく似合うっちゃあ、よく似合う。
歳もなにげにもうすぐ29(推定)ですしね。
で、ポン吉がつぶれた後。
しんみりとしながら親父殿が言うには、坪井さんは、ちょくちょく、先に亡くなられた奥様のお話しをされていたそうで。
まぁ、親父殿と同じ境遇だから話しやすかったのでしょう。
妻に会いたいと、度々こぼされていたようです。
((いやぁ、よかったじゃねぇか。これで天国でかみさんとまた一緒になれらぁな))
とは親父殿の言葉。
涙ながらに喜ぶ様子を見るに、やっぱ、親父殿も母さんに会いたいのかな…。
さて、囲碁入門書。
坪井さんがいなくなり、対戦相手を失った碁盤さんは、ポン吉を捕まえては少年の姿に化けさせ、
((そなたをヒカルような碁を打つ少年に育てようぞ))
と言っては、教え込もうとするのですが、ポン吉はまったくもって興味がないから一向に覚えず。
碁盤さんがしびれを切らして、悪霊になられても困るので、やむなく僕が相手をする事にしました。
((ううむ。まろのビジョンとは乖離しておるがいたしかたないのう。そちで我慢するとするかのう…))
ビジョンって…。
そりゃ、週一で少年がジャンプするようなビジョンを持たれても困るのですが。。。
で、数年後に僕が町内会の囲碁大会で優勝するのはまた別のお話し。
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