19話。《さよなら》

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そうそう、美代子さんですが、あの後も壺を鑑賞しにいらしました。 僕からはもちろん何も言わずに、いつものように案内したのですが…。 美代子さんは、壺に対面しながら、静かに涙を流すのでした。 「どうされました?」 「すみません、なぜか涙が…」 「大丈夫ですか?」 「ええ。なぜでしょう。いつもと違う感じがして…」 「・・・。」 「でも、大丈夫です。空から、もうお前は大丈夫だ。頑張れ、っていうお父さんの声が聞こえた気がしました」 「そうですか」 「これからも、また壺を見に来てもいいですか?」 「もちろんですよ」 と、答えると、満面の笑みを浮かべるのでした。 親の心、子知らず、子の心、親も知らずだったこの二人。 今やしっかりとした絆で結ばれたようで。 よかったですね、坪井さん。 さようなら、さようなら。
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