3話。 《コーヒータイム》

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「それに、これは鋳鉄(ちゅうてつ)で出来てるから、作れる職人さんを見つけるのも、なかなか難しいだろうってお父さんが」 「そっかー…」 鋳鉄は、鋳造(ちゅうぞう)で作られる製品の素材になる鉄。 つまり、このミルは、いわゆる鋳物(いもの)ってわけだ。 ((まずく…まずくなれ…)) とりあえず本人(ミル)に事情聴取だな。 「これ、預からせてくれないかな?」 「え?」 「ほら、僕、骨董品扱ってるし。僕のつてでわかる人いるかもしれない」 「あ、そっか。でもいいの?」 「なにが?」 「そんな暇あったら、お金稼ぐこと考えたほうがいいんじゃない?」 「余計なお世話だよ。それに、おいしいコーヒー飲めなくなるの困るしね」 「で、でも与一くん、コーヒー飲めないじゃん」 え、飲めないと思われてたの!? 「の、飲めるよ…」 「そうなの!?あ、ごめん。私はてっきりお子様だからミックスジュースしか飲めな…」 ・・・。 「ご、ごめんなさい。よ、よろしくね~。あ、今日のお代はいいから~」 慌てて店から追い出された。 なにもすぐに行動するとは言っていない。 もう少しゆっくりしたかったのに…。
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