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巻物を一瞥。
こりゃニセモノですな。
愛想よくご対応。
「…すみませんが、これはウチでは買い取れませんねぇ」
「なんだって?ほら、鑑定書だってちゃんとあるんだよ?まあ、見てよ」
「ですが、こちらの品、最近つくられたものとお見受けしますが?」
「なんですと???」
いやね、古いかどうかはすぐにわかるのよ。
ほら、物の怪っていうけどさ、あれって古いモノが化ける事が多いでしょ?江戸時代くらいの年代モノになると、物の怪にならなくても、そーゆーにおいがするのよね。
まして、『名作』と言われるものは、一目見ればわかる。
だって、必ず作者の魂がこもってるんだもの。
「これがニセモノだとでも??」
僕の鑑定勘(かんていがん)を甘くみないでね。
にやり、したり顔。
お客の顔が赤くなる。
あらら、書類を握って、ワナワナだって…。
穏便に、穏便に…。
「いや、お客様、失礼いたしました。こんな高級なもの、うちに買い取れるお金はございませんよ」
「品物、見もしないのか?」
「やや、見たら欲しくなっちゃいますからね」
「…」
「いやぁ、残念。宝くじでも当たればねぇ…」
当たったらお店たたんでますけどね、きっと。
「ふん。貧乏人が」
結構な捨て台詞。
はなから儲ける気なんてありませんよ~
男は荷物を手荒くまとめて店を出る。
あらあら、お高級品なお巻物をそんな乱暴に扱っていいんですかね~
((おととい来やがれ、ばぁろ~め!))
あんたは成仏してくれよ、親父。
((塩まけ、塩!))
おいおい、あんたも逝っちまうぜ?
あ、それはそれでいいか。
塩、塩っと。
パパッと親父にかけてやる。
((なにすんだい、おたんこなす))
「塩まけって言ったの父さんでしょ」
((なんだって?それが親に対する口のききかたかこのやろぉ))
「父さんよりは悪い口じゃございませんよ」
((てんめぇ~、こちとら))
はいはい、ちゃきちゃきの江戸っ子ね。
岩手出身のくせに。
((…なんか言ったか?))
「なにも言ってませんよ。江戸っ子の親分さんはなにもせんと奥で寝ててくださいな」
((寝てなんていられるかい!出来の悪いドラ息子。親にはもっと優しくせえ!こちとら死んでも死にきれんわ))
…そのようですね。
「あの…」
あ、お客さん…
「はい~」
にこにこ。
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