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このお皿、ルソン・スケザエモンの魂は宿ってないけど、あんたの爺さんの魂、しっかり宿っちゃってるんですけど…
仕方がないので、ひとまずカウンター裏の在庫棚においておく。
さ、帳簿つけなきゃ。
ぼちぼち月末だ。早めにやらなきゃ後々つらいからね。
え?本当につらくなるのかって?
…嘘です。
末日まで溜めようが、ものの1~2時間で処理できるほどの仕事しかしていません。
トホホ。
他にすることないから、ね。
((しくしくしく))
ほらきた、お皿のおじいさん。
知らんぷり、知らんぷり。
((しくしくしく))
えーと、仕入れの合計がこれで、売り上げが、と…。
((しくしく、しくしく、おーいおいおい(泣)))
…あー、もうっ。
「あの、静かにしてもらえませんかね」
((え?わし?))
「そう。あなた」
((聞こえるのかい?))
「はい。だから静かにしてください」
((ちょいと、聞いておくれよ))
「いえ、今仕事中ですので」
((聞いておくれよ))
「忙しいのですみません、後にしてください」
((聞いておくれ…))
((年寄の頼みは聞くものじゃよ))
((そうだそうだ!))
((どうせ暇なんだろ!!))
加勢するほかの骨董品たち…。
「あーもう、どうせ暇ですよ」
いまにみてろ、骨董品どもめ。ろくでもない買主が現れても売るの止めないぞ!
((ありがたや、ありがたや))
お化けに拝まれたかないわい。
「で、なんですか?」
((おいわちゃん。いわちゃんにお皿を渡したくてな…))
「岩ちゃん?」
((おいわちゃん。四谷のおいわちゃん…))
おいおい、四谷のお岩さんって、怪談話じゃあるまいに。
「このお皿はそのお岩さんに渡すお皿なんですか?」
((そうじゃ))
一枚足りないなら届けましょってか?
「わかりました。届けましょう。四谷のどこにいるんですか?」
((老人ホーム))
…なるほど。
こりゃまた平均年齢の高い四谷怪談になりそうですな。
いきましょうか、伊右衛門さん。
あ、伊右衛門って四谷怪談のお岩さんの旦那さんね。
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