5話。 《四谷怪談?》

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と、いう事で四谷の老人ホーム、たんぽぽ壮。 「すみませーん」 例のごとく、お皿を抱えてやってまいりました。 「はいはい、なんでしょう」 「すみません、いえも…じゃなかった、倉田さんの身内の者なんですが、こちらに岩さんというおばあちゃんはいませんでしょうか」 「岩さん?んー、いませんね…」 「え?いない?」 「はい」 (ですってよ、伊右衛門さん) ((いわちゃん…いるよ、いわちゃん)) 「倉田さんが生前、こちらに岩さんという方がいるっておしゃってたんですがね…」 「んー、倉田さん、アルツハイマーが結構すすんでらっしゃったからねぇ…。倉田さんの担当してた娘、呼んできますね」 …伊右衛門さんの思い違いかな。 ((いわちゃんはここに居るんじゃよ)) 「お待たせしました」 「あ、すみません。倉田さんが岩さんという方にお世話になったみたいで、お礼を言いたいんですが…」 「ああ、岩さんね」 「ご存知ですか?」 「ええ。先月まで研修で広島の大学から来てた学生さん。西島久美さんっていうんですけどね、その子を捕まえてはお岩ちゃんって呼びかけてましたよ」 「西島さん…」 「はい。久美ちゃんもいい子だから、はいはい、岩ですよって対応してましたけどね」 「なるほど…」 ((おいわちゃん…)) (人違いみたいですよ) ((おいわちゃんは、おいわちゃんぢゃ)) 譲らないわけですね…。 まいったなこりゃ。 長引きそうですね。 次回へ続く~。
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