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和樹が腕の中で
ぐんにゃりと動かなくなって
ようやく――。
「僕だって、君をアメリカにずっと置いてやるつもりはないさ」
唇を放すと
九条敬は言った。
「でも病気が治るまで――せめて完全に正気に戻るまでの間。色恋と無縁の生活を送った方が君の為なのかもしれないと思って」
言葉と行動は矛盾していた。
「おい、待てよ……」
俺が気づいた時には
貴公子は弟のシャツに指を忍ばせ
宝物でも撫でるような仕草をしていた。
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