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「どうして君はこう――」
幼い顔して
男を次々手玉にとる。
生まれもっての悪癖。
詐欺師まがいの淫乱。
そのとおりだ。
「一番の問題は和樹――君にはいっさい何の罪もないと思えることだ」
ぶつけどころのない苛立ちに
九条敬は握った拳を己の口元に押し当てた。
欲望と理性の狭間で揺れている。
「君が呼べばいつでも迎えに行く。君が僕を呼べば――」
ひとまず
理性が勝ったみたいだ。
九条敬は最後に
後ろからそっと和樹の髪に口づけ去って行った。
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