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「でも残念。これはレプリカですよ」
和樹は俺の手から
ネックレスを引っ手繰ると
「本物はここに」
「あ?」
胸元にぶら下げた
本物のハリー・ウィンストンをチラリ垣間見せた。
「何かあった時のためにレプリカを作ってもらったの」
「何かあった時って?」
「今みたいな時さ。わざと落として気のない殿方に届けてもらうためとか」
偽物を無造作にポケットにしまい込むと
「――これは大切な物だからみだりに落としたりしないよ」
和樹は両手で包みこむようにして
胸元のダイヤに口づけた。
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