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和樹はといえば――。
やっぱり
見捨てられたと思ったのかもしれない。
「分かった」
二つ返事で
アメリカ行きをOKしたんだ。
「でもあいつが本当に日本を発つまで油断は禁物ね」
「あ?」
「覆すでしょ?いつだって――」
何度か味わった
苦い思い出を噛みしめるように
貴恵は長い爪を噛む。
「それで?弟と2人きりの休暇はどうだった?」
「あんたも聞くのかよ……」
言うもおぞましい。
なのに――。
いまだに体は疼く。
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