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中庭に――。
行くつもりなんてなかった。
だから螺旋階段を駆け上がり
途中まで来て。
「チッ……」
あいつの落とした一際高そうな
ハリー・ウインストンのネックレスを見つけた時には。
思わず舌打ちした。
この世に偶然なんてないんだと。
偶然と思える物事もすべて必然なんだと。
つい最近なにかの本で読んだばかりだった。
「ったく……しょうがねーな」
このまま捨て置くには
世界最高級のダイヤはまぶし過ぎて。
指先に引っかけ
俺は今来た道を引き返す。
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