第三話 オネエ妖怪が僕っ子をプロデュース

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「だ、だって、しょうがないじゃん。お兄ちゃんのお古とかばっか着てたから。 服の選び方とか、わかんないんだもん。」 僕は本当に、服のセンスが無い。 「じゃあ、私が服を選んであげる。行きましょ!」 オネエ妖怪が勝手に腕を組んできた。 「ええ?今から?」 「まだ開いてるお店知ってるから。可愛い服がたくさんあるのよ。」 オネエ妖怪にぐいぐいと引っ張られて僕は連行された。 「おこんばんはぁ~。まだやってるぅ?」 お店、ってここ、廃墟じゃん。 「いらっしゃーい。」 僕は奥から出てきた店員にびっくりして短く「キャッ」と叫んだ。 貞子だ、貞子出てきたー。 「今日はね、珍しいお客さん連れてきたのよ。なんと、人間。」 何がおかしいのか、オネエ妖怪はくすくすと笑い始めた。 妖怪ギャグなのか、これ。 「この子に似合う、女の子らしい、可愛い服を見繕ってくれる?」 そう貞子に言うと、おもむろに古い箪笥を開いた。 その中からにゅーっと手が出てきたので僕はまた驚いて 今度はしりもちをついてしまった。 「箪笥の付喪神よ。」 オネエが言った。 その手には、ヒラヒラのフリルのついたピンクのブラウス、ピンクの ヒラヒラのミニスカート、これまたピンクのカチューシャとピンクの靴が握られていた。 これって、まるで姫ファッションじゃん。 「こんなの、恥ずかしくて着れないよ。」 僕は難色を示した。 「何言ってんのよ。アンタなんてこれくらいしないと、女の子に見えないでしょ?」 いちいち引っかかる、棘のある言い方。 僕はしぶしぶ試着室で試着した。 「フーン、なんとか女の子に見えるわね、これで。」 なんだか足元がミニスカートのせいでスースーする。心もとない。 「僕、お金持ってないよ?」 「いいわよ、今回は私がプレゼントするわ。 いい?今度お祭りがあるでしょ?翼君を誘うのよ。 この服を着て行きなさい。」 「えーーー、無理無理無理!僕から誘うなんて。」 「何言ってんのよ。こういう時こそチャンスじゃない! ほんと見てるだけで何の進展もない。アンタ見てると イライラしちゃうのよ。私だったら、もっとガンガン行くけどね!」
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