第一話 僕っ子だって恋するもん

2/4

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
僕は竹中みなみ。 一応女子高生。 僕には兄弟が居て、上に二人の兄、下に一人の弟、 計4人の中で唯一の女の子。 でも、全員が自分のことを僕というから、自然と僕も一人称は「僕」となった。 親は割とおおらかな親で、別にそのことで咎められたり、矯正されることもなかったので、僕はいまだに僕であり、良い友達にも恵まれ、そのことでからかわれたりすることはなかった。 髪の毛も、兄弟と僕4人が並べられて、一気にお風呂場で散髪されてたりして、常にショートカットだった。 だから僕はよく男の子と間違われたのだ。 中学の時など、見知らぬ女の子から告白されたこともあった。 僕は現在高校2年生。 今、僕は恋をしている。 もちろん相手は男の子だ。 彼の名前は、浅野 翼。同級生だ。 きっかけは、仲の良い友人4人で夏休みに、川原に行った時のことだった。 僕と翼、春日 日向(ひなた)大和 日向子(ひなこ)の4人は同じクラスで仲良し4人グループだ。僕らは夏休みの思い出に、川原でバーベキューをしようということになった。    僕と日向子は、調理係。翼と日向は釣りで獲物をゲットする係りだ。男子たちの釣果はさんざん。あらかじめ持ってきておいたお肉や野菜などの食材でのバーベキューを余儀なくされた。  飲み物はクーラーボックスなど無かったので、川原で直接冷やしていたので、僕は、それを引き上げようと川に入って行った。 ところが、その時、急に眩暈を感じ、意識が朦朧となって、あやまって川の深みにハマって溺れてしまったのだ。  すぐに日向と、翼が飛び込んで助けてくれたのだが、日向はスポーツ万能にもかかわらず金槌で、翼が僕を助けてくれたのだ。  その時、初めてお姫様だっこというものを、体験した。 翼はどちらかというと、軽いタイプで、僕はそれまではちょっと軽蔑していた。女の子と見れば、誰でも声をかけてちやほやする。 その日も、日向子にちょっかいをかけてるのを見てちょっと呆れていたのだ。  いつもナンパな翼が真剣な顔で僕をお姫様だっこして 「おい、みなみ、大丈夫か?」 と心底心配そうに言った時に、僕は恋に落ちてしまったのだ。 それまで僕は、翼のことなんて何とも思っていなかったのに、 今ではいちいち翼が何か言うたびにドキドキしちゃうのだ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加