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「ははーん、アンタ、あの子が好きなのね。割とかわいい子じゃない。」
後ろから僕の様子を見ていたオネエ妖怪が、舌なめずりをしながら言った。
僕は振り返り、凄い形相で言った。
「翼に手を出したら、絶対に許さない!」
「フーン、あの子翼くんって言うんだあ。もう一人の子も、色が浅黒くてスポーツマンタイプで素敵ね。」
こいつ、日向にまで手を出す気だ。
すると、3人が僕に気付き、近づいてきた。
「おー、みなみ、今帰りかあ?一緒に帰ろうぜ。」
屈託の無い笑顔で翼が近づいてきた。
だが、日向と日向子は真剣な顔でこちらに近づいてきた。
そして日向が僕の手を引いて引き寄せた。
え?なに?
「おい、そこの妖怪。みなみに近づくな。帰れ。」
日向が僕の手を引き、オネエ妖怪の前に立ちふさがった。
翼は何のことかわからず、ポカンとしていた。
「え、何、何?」
翼は真剣な顔の日向と日向子の顔を交互に見ていた。
「フーン、この子たちは見える子なのね。僕っ子に影響を及ぼしてたのは、君たちなのね。」
日向と日向子はオネエ妖怪をじっと睨みつける。
「わーかったわよ、わかった。そんな怖い顔しなくても帰るわよぉ。私はかわいい男の子にしか興味ないんだから。」
そう言うとタバコを吹かしながら、夜の闇へと消えていったのだ。
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