2、七剣星と闇夜の暗殺者

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「はあ、何でこんな事になっているんだ……」 そう言って、俺は大きなため息をついた。すると、近くにいた男がおいおいと言いながら俺の目の前に来ると、 「いきなりそれか?ったく、警視庁の刑事もたるんでるなあ~。若いんだからもっとシャキッとせんか、シャキッと」 そう言って俺の頭に軽くチョップする。それを受け止める俺を見て男はにやりと笑う。その口にくわえているのはタバコかと思いきや、棒付きキャンディーである。 すると、もう1人の男が近づいてくる。坊主頭に大柄な体の男は俺の近くにいた男に呆れた表情をすると、 「まったく、こういう時にも人にちょっかい出さないでください。そういう余計な一言が悪いんだって言ったでしょうが」 「いーじゃんよ。何せあの”良士”が絶賛していた刑事だぜ?それもこんな若いのが。そりゃ構いたくなっちまうのさ」 そう言って笑う男に坊主頭の男は俺のように大きなため息をつく。それを見ている俺だったが、ふと横に人が立っていた。こちらも彼らの仲間だ。 長い髪を束ね、その横顔はとても可憐だ。しかし女性に見えるこの人物は、性別は”男性”である。 「悪いね、俺ら仕事でもこんな感じだからさあ。まあきちんとこなすから勘弁してな?」 「いや、大丈夫です。そういうの、慣れてる方ですから」 俺の言葉に苦笑する彼の顔は、本当に可憐な少女に見える。しかしまぎれもなく男性である。その上、こんな事を言っている彼もこの状況を”楽しんでいる”ようだった。 まったく、俺も何故この状況で平然としていられるのか。普通なら憂鬱になりそうな状況に動じていない。やはりこの人らも俺の知る”変人たち”と同じ波長なのだろうか。 そんな事を考えていると、いきなり銃声が響く。俺がその方向を向くと、3人も一斉に顔つきを変える。その後も何度か銃声。どうやら始まったようだ。 「さてと、それじゃあ行くとするか。お前らは”連中”の足止めな。俺はこいつを連れて親玉とご対面さ」 「了解です。まあできる限り時間を稼ぎます」 「相手は死なせちゃいけないらしいけど、抵抗したら骨の1本は良い?」 ああ、と男が頷くと2人は走り、闇の中に消えた。そしてさて、と言うと、 「行くぞ青年、きちんとついて来いよ?」 にやりと笑って見せた。 ああ、何でこんな事になったんだろうか。
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