2、七剣星と闇夜の暗殺者

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 時間を少し遡り、一昨日。 俺、槙田久はある人に呼び出され、そこへ向かっていた。その隣にいつもいる関根寛はいない。俺だけが呼び出されていた。 俺はあまり乗り気ではなかった。何故なら、昨日田原が取り調べ中に死亡し、その遺体のそばには奇妙なメッセージが残っていたからだ。 ”契約は果たされた”、このメッセージの意味と田原を殺した犯人を警察は躍起になって探しているらしいが、俺は犯人に何となく目星を付けていた。 あの小鬼だ。田原が召喚し使っていた小鬼たち。俺も遭遇した異形のもの。あの時は何とか逃げられたが、もしかしたらそれで彼は死んだのではないだろうか。”契約違反をしたから、その代償に命をもらう”と。 (っと、いかんなあ。考えすぎなんだ俺は。小鬼たちがやっただなんて寛の影響受け過ぎだぞ。あれは人がやったのさ、そうに違いない。……だが、コンクリに鉄パイプを貫通させる力に犯行後に誰にも気づかれずに逃げる。これは……) 俺はそこまで考えてやめる。あまりにも常識外れだと感じたからだ。 もしかしたら、あの時見たのも幻覚や見間違いかもしれない。だが逃げているときに感じた感覚は、まさしく何かに追われているそれであった。恐怖、ともいえるだろう。 「あれは幻覚じゃなくて、本当だったのかもしれない……」 ふと呟いて、俺は首を横に振る。今は呼び出しを受けているんだ、それは後でも考えられる。今は目の前の事に集中しろ。 そしてその場所に俺は着いた。そこには見覚えある表札が出ている。 【刑事部捜査一課第3係】。そう、俺を呼んだのはここの警部補である高山良士だ。 ドアをノックする。いいぞー、と緩い声。俺はノブを回し失礼しますと言って中に入った。 するとそこは相変わらず、”異郷”であった。およそ警視庁の一室とは思えない。しかし今回はいつもと違っていた。 この前のランニング男とチャイナ格闘娘(俺命名)がいない。その代わり、椅子に座る高山とその近くにもう1人。 「おお、よく来たな青年。今回はよくやった、まあ犯人死んじまったけどな」
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