2、七剣星と闇夜の暗殺者

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『それでお前、数日間刑事から探偵になるって訳か!それは大変だな!』 「他人事だからってはしゃぎやがって。しかもその後、ほんとに警部に許可取って認められるなんて……」 数時間後、高山が見事に警部の許可を取り付け俺は数日間の間、探偵として働くことになったのである。……何故こんな事になった。 どうやらこれはちょっとした騒動になっており、それを聞きつけた寛がこうやって電話を掛けてきたので真相を話したところだ。終始、笑いながら話を聞いていたので切ってやろうと考えたが。 一方俺をこの件に巻き込んだ張本人、雨井という探偵は誰かと電話している。仕事の依頼人か、同業者か。ちなみに高山の方は担当する事件があるからとさっさとどこかへ行ってしまった。 「……いや、だから捜査に必要な人材だって。何?また迷惑かけてるんじゃないかって?まあかけたけど、大丈夫だって!事件解決すりゃあ何もかも解決ってね。あ、やばい。ちょっと用事があるから切るわ!いつものカフェに集合なー」 そう告げると、雨井は電話を切った。何だか、ものすごい適当で不安しか覚えないのだが。これで本当に依頼を受けて解決できるのか? そんな俺の不安をよそに、彼はさて、と告げると、 「それじゃ行くか青年。やること多いし紹介しなきゃいけない奴もいるからな」 「紹介って……。俺の名前すら聞いてないじゃないですか」 「そんなもん後でも聞けるわ。いいから行くぞ青年」 そう言って、雨井はさっさと歩いていく。何なのだ、この人は。ほんとにマイペースで自分勝手というか。俺は不満を抱きながら、彼についていく。 どうやらどこかに向かっているようで、彼は陽気に鼻歌を歌いながら進む。俺は周囲を見回しながら歩いていると、近くで警官が見回りをしている。 (そうか、まだ男女連続誘拐事件は解決していなかったよな。あれもあれで奇妙な事件だが、……そういやこの雨井という探偵もそうだ。警部がその名前を聞いた途端、顔をしかめていたし。何人かの刑事も疲れた表情してたし、この人よほど”厄介者”扱いされてんのかもな) 俺がそんな考えを巡らせていると、雨井が止まった。そこは裏路地に少し入った所にある、やや寂れた喫茶店だ。 「到着だ。ここで俺の部下たちに会ってもらう。ま、軽い面接気分で行ってくれ」 そう告げ、彼は扉を開けた。
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