偽装

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「聞いてんのかよ、神威。お前のための作戦だぜ?」テッドが黒眼鏡を持ち上げる。俺は首を竦めた。「悪りい」 テッドの説明は簡単簡潔。曰く、当てのない探索に時間をかける位なら、最初からルナの居所が判る瞬間を狙え、だ。 確かにそうだ。巨大な軌道シャフト。広大な基地。下手な宇宙港なんて目じゃないのだ。しかし――。 「言いたいことは判るよ。潜入探索は至難だ。だが、罠である以上、いま取り戻せなければ彼女の身が危うい」俺はとっくに覚悟を決めている。式典後の新居だって北アメリカとは限らない。奴等――エルヴ・アブサントの勢力は宇宙にまで伸びているのだ。コロニーに連れ込まれればアウト。探しようがない。
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