偽装

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「なんなら、口づけの瞬間でも構わねーんだぜ? 替わりにお前がキスしてこい」誰かが口笛。 トレーラーに笑いが溢れた。クラウンは入れ墨頭を叩いている。「そりゃいーや。ノーラ姐がどんな顔すっか見ものだぜ」おいおい、何を言ってんだ。 「冗談言ってる場合かよ」俺は立ち上がった。「今から飛んだって式典には間に合わないんだぜ?」 ラウラが俺を見上げた。「ルーク単独じゃあな」あ、いや、ローラか? 「なるほど。輸送船を使うって手があったな」組んだ両手に顎を乗せ、パットは噛み締めるように言った。「軌道航路――ロングジャンプを使えばまだ間に合う」上目遣い。俺を睨むような視線。
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