第1章 マリア

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大河内春樹はどうかしていた。 昨夜、杉下右京に言われて、ホテルジェルモンドのロビーにいる、河北マリアという女性に会う事になっていた。 河北マリアは、髪の毛をシュシュでまとめていて(そのシュシュがラメだらけでやけに目立つのが気になったが)、アナスイの黒と紫の服を着ていた。バッグはシャネルの小さなポシェットだった。 マリアはいきなり 「大河内春樹さん!?私、河北マリア。杉下さんの紹介で、あなたのまわりの世話をすることのになったの。早い話がメイドよ。メイド。好きに使って」 と言ってきた。 マリアには迫力があった。 まだ20代だろうか。 年齢を女性に聞くのはタブーだと判っている大河内は、マリアに、 「今日はこのホテルジェルモンドに宿泊してくれないか」と言った。 マリアにいきなり自宅に来られるのが恥ずかしかったからだ。 マリアは「構わないわ。ところでスイート!?」 「まさか!俺は自分の家のマリアに見せられないところだけ片付けに行くんだ!!」マリアはそっと明日の朝までここにいなさい」 「はあ~い」 不満そうなマリア。 でも仕方ないな。 マリアがこれからメイドとしてウチに来るんだったら。 もう少しきれいにしよう俺の家、 なんちゃって。 マリアには携帯の番号を教えて(マリアからも携帯の暗号をもらった)。家へ急ぐ。 こんなメイドいらねえぞ。 どうかしたんだよ。 どうかしたんだよ、大河内春樹。
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