第1章

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「フフフフフフ」 隣の屋敷に獲物が引っ越して来たわ。 隣の広い敷地を持つ屋敷に、3年前に死んだ前の持ち主の甥が、私が狙う宝物を持って引っ越して来た。 引っ越して来た男の趣味は、世界各地の有名人が埋葬される際入れられた棺や、変わった素材の棺を集める事。 世界各地から金に物をいわせて集めた棺の中には、ドラキュラ伯爵が使用していた棺もあるのだって、数年前に雑誌の取材に自慢気に答えて、雑誌に写真も載っていたわ。 でもあたしの獲物はそんな物じゃ無い。 アフリカで手に入れたと聞く、黄金でできた棺、それがあたしの獲物。 あたしの盗みの腕は、ルパンや怪人40面相の更に上をいっているわ。 あの人達が数ヶ月の月日をかけて盗みを成功させるのに対し、あたしは計画なんて立てないで、ちょっと行って貰って来るだけ。 何故か? って。 それはね、あたしが超能力者だからなの。 あたしの能力は空間移動。 幾つか欠点はあるのだけと、一瞬で1万メートル以上移動する事ができるの。 獲物が置いてある部屋に侵入、侵入した途端、警報装置や監視カメラに引っかかるけど、警備員があたしの所に駆けつける頃には、あたしは獲物を持って逃走した後ってこと。 欠点の1ツは、軽い物、指輪やネックレスなど重さが1キロ以内の物であれば、手に持って1万メートル以上移動できるのだけど。 重い物、世界に1台しかないスーパーカーとかみたく、1トン以上ある物だと抱きついて一緒に空間移動できる距離が、頑張っても精々300メートル位しか移動できないの。 だから屋敷の隣に建つマンションの最上階で、獲物を待っていたって訳。 もう1ツの欠点は、自分がパニックに陥ったまま空間移動しようとすると、数ミリずつしか移動できないって事。 これは少しヤバイ欠点なので、ちょっとやそっとでは動じないように、剣道や空手を習って精神を鍛えたわ。
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