第1章、生命(いのち)という名の呪い

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神は何故人間に生命(いのち)を吹き込んだのか、そもそも神が存在するならこの世には何故こんなにも辛らくて理不尽なことが多いのか、と常々私藤原優香は思う。  今この場所で起きている現象についてもそうだ。何故人間はこうもいじめというものが好きなのであろうか。気に食わない人間がいるのなら放て置けばいいのに。  人という名の鬼が私の頭に腹にお尻に何度も何度も蹴り続ける。よくもまあ毎日飽きないこと。うつ伏せで床に伏した状態で私はチャラい見た目の女子生徒5人にリンチにあっていた。これをやめさせようとする人間はいない。教師も黙認している。学校でいじめを受けているだけだったらまだ救われたかもしれない。だが家に帰っても私の居場所は無い。そう考えたとき、ふと私の脳裏にとんでもない考えが浮かんだ。  いやいや流石に私にだって良心はある。流石にこの考えは駄目だ。ああ、神様どうか私を助けてください、といるかもわからない神に私は祈る。  いるかもわからない? いや違う。神はいる。そう絶対者だ。神とはつまり絶対的権力という力を持つ者。弱肉強食。弱いものは食われ強いものが生き残る。人間だって一緒なのだ。  それに、よくキリスト教などでいう天国なんて存在しない。そんな死んだら天国に行って幸せになるなんて都合がいいようには世界はできていない。まあ、地獄はあるかもしれないけど。だって今まさに地獄なのだ。  意識が朦朧する中で私はそんなことを考えていた。すると「グキッ」と鈍い音を立てて誰かの上履きが私の頬にめり込んだ。  私はこの苦痛にずっと耐えてきた。だけどもう限界かもしれない。「奴を殺して私も死ぬ」と言っていたのはどこの漫画のキャラであっただろうか。先程浮かんだとんでもない考えがいつまでも私の脳裏に木霊した。
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