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「おい、来てみろよ」
エリックの声にアンディとメアリーが部屋に入った。
部屋には小さな立方形の機器が蜂の巣のように並んでいた。
「何だこれは?」
「多分これがサーバーの様な物かもね」
驚くアンディと対照的にメアリーが冷めた口調で答えた。
「へえ、未来だとこういう形になるのか」
エリックも他人事の様な口調で言った。
「だが電源はもう切れて動かないだろう」
「そうね」
アンディの言葉にメアリーは円筒の機器のスイッチを押しながら言った。機器の反応はなかった。
「どこかに非常用電源がないか」
「もしあってもとっくの昔に使い切ったんじゃないか」
エリックとアンディの会話を後目にメアリーは部屋を見回して奥に小部屋がある事に気が付いた。メアリーはゆっくり小部屋に入った。配電盤のスイッチを適当に触ってみた。サーバー室の二人が騒ぎ出した。
「どうしたの?」
メアリーが小部屋を出ると機器が音を立てて鳴りだした。
「メアリー何をしたんだ」
「この部屋の配電盤を触っていただけ。動き出したのね」
小さな立方体の機器のランプがオレンジ色から緑に変わった。
「しかしこれだけじゃ何もわからねえぞ」
「来て!こっちに端末があったわ」
メアリーは二人を小部屋に案内した。ノートパソコンに電源を入れると起動した。
しかしパスワードロックがかかっていた。
「ああ、普通そうなるな」
エリックは落胆しながら呟いた。
「くそっ!俺達はどうしたらいいんだ」
アンディは捨て台詞を吐き小部屋を出た。メアリーはドクンっと何か頭に響く音がした。
「何?」
メアリーは両手を頭で押さえながら小部屋を出た。
「おい、何だこれは」
アンディの驚く声がサーバー室の外で聞こえた。メアリーとエリックも部屋を出ると思わず立ち尽くした。
目の前の景色がぶれて沢山の人間が行き来していた。オフィスでよく見かける場面が映像の様に三人の前に映し出された。
「何なのこれは?」
「わからない。映画か?」
メアリーの問いにエリックは呆然としながら答えた。三人に女が近づいてきたが、女は三人の体を通り過ぎて行った。
「何だ?ホログラムなのか?」
アンディも驚きながら活気のあるオフィスを見回した。まるでそこにいるかのような映像はしばらく続いたがブレとノイズで乱れ始めた。そして地震のような振動が起きた。
「伏せなさい!」
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