ストーリー ストーリー

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 「怖かったでしょ」  「焦った」  「もう飛びたくない?」  「それほどじゃないけれど」  「事故原因、 突き止めて報告しないと…パラシュートに故障はないか、 それも調べないと」       ◆~始まりは小さなときめき~◆  秋の始まりを思わせるこの日は、 高く、 澄んだ青空が美しく、 風も穏やかな、 絶好のジャンプ日和だった。 香澄がスカイダイビングを始めたのは、 去年の夏。 今シーズンも何回かは足を運んで、 トライしていたが、 ジャンプ回数は多くはない。 狂ったように、 ジャンプばかりにのめりこむ人たちの多いこの世界では、 香澄のように時々来る…というのは珍しかった。 そのせいか、 なかなか友達もできず、 インストラクターたちともそれほど親しくはしていなかった。
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