ストーリー ストーリー

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 「あ、 俺、 八木俊也だけど。 言ってなかったよね」  「でも、 ちゃんと知ってました。 やぎちゃん。 有名です、 なーんて」  「はは、 あれ、 えーと丹治さんだっけ」  「丹治香澄、 麻耶ちゃんの友達」 「丹治さんは、 あんまり来ないよね、 麻耶ちゃんは、 しょっちゅう来てて、 すっかりなじんでるけれど」  「そう、 なかなか来れなくて」  「麻耶ちゃんに、 誘われて始めたの?」  「そう。 麻耶ちゃん、 仕事がらみの友達で。 いっつも会うと空の話ばっかりしてくる」  「はは、 彼女らしいね。 家は?近いの?ここから」  「え、 麻耶ちゃん?」  「いや、 丹治さん」  「あ、 わたし?あー。 仲吹」  「あ、 じゃあ電車だったら、 一本じゃない」 「そう。 でも、 ほら、 飛行場までは、 駅から一時間に一本のバスに乗って、 降りたらバス停から三十分は歩くでしょ。 なんだか足がないと通いにくくて」  「そうだね、 飛行場って、 ま、 都会の真ん中にはないからね」  「八木ちゃんは?」  「俺、 市内。 近いですよ」  「ああ、 だからこの辺、 詳しいんだ。 今日のクリニックも」 「うん、 伊福部外科っていうところ」 「知ってる人の?」 「うん。 そこの娘、 ここにたまあに来るんだけれどね。
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