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こういった時代の流れ中で、国民の生活は逼迫して行った。貧富の差がますます激しくなり、少子化問題は一向に改善されずに坦税者は減少し、消費税は18パーセントにまで引き上げられる。そして、2020年、新たな問題が沸き上がる。それは電力エネルギーの問題であった。
2011年、未曾有の大地震を経験し、原子力発電所の危険性を認識した国は原発廃止路線を打ち立て電力エネルギーを原発以外の火力発電やその他の代替エネルギーに求めようとするのであったが、石油・石炭・天然ガスなどの所謂、化石燃料の高騰により一般家庭の電気代に対する負担は大きくなり、また、企業や国民から電力を買い取ろうとする『固定価格買取制度』は悪天候と国の財政を圧迫する事から見直しを余儀なくされ、大資金を投入したものの収益を上げられない企業の倒産が相次いで社会問題になってしまう。そこで、国は国民の不満を解消するとともに電力会社の要望を受け、国内にある44基の原子炉のうち、操業停止や廃炉が決定したものを除く全ての原子炉の再稼働を決定するのであった。だが、再稼働を決定するに当たって原発から生じる放射性廃棄物を如何に処理するかという問題は残されたままであった。
放射性廃棄物は低レベルの物と高レベルの物に区別される。低レベルの場合、その液体廃棄物や雑個体廃棄物(布・紙)などはセメントで固め、ドラム缶に固定し、発電所内の貯蔵庫に保管した後、青森県六ヶ所村にある低レベル放射性廃棄物埋没センターに運ばれ、比較的浅い地層での埋没処分となる。
一方、人体に及ぼす影響が大きい高レベルの放射性廃棄物のうちには半減期が長いものがある。例えばプルトニウム239の半減期は24000年であり、放射性物質の量が微量になるまで相当の年月を要する。そして、使用済み燃料を再処理し再び使えるウラン・プルトニウムを回収した後に残る高レベル廃液は濃縮して容積を減少しガラスと混ぜ合わせてステンレス製の容器に固化し、その後、青森県六ヶ所村にある高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに30年~50年程度、冷却の為に管理・保管し、最後は地下深の地層の中に埋没処分する事になる。その代表的な処理施設がフィンランドのオルキルオト島にある『オンカロ(隠し場所)』であるが、地震が多く地層が不安定な我が国にはオンカロのような施設がいまだにないというのが現状であった。
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