不思議職安

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 部活動で積み上げたものは全て崩れさり、体育特待での大学進学も無くなりそして今に至たったのだ。  記念すべき社会人一発目は、見事にこけた。  冷たい2月の風に吹かれながら、金城町子にもらった茶封筒を覗いく。  『一応ハローワークで配られているリーフレットが全部入っているわ参考にしなさい』  そう言って渡してくれたA4の茶封筒の中には、びっしりと職業訓練の案内とか失業保険需給の案内だとかが入っていた。  しかし、今の砂辺家には今日の米代すらないのだ。  ___3月まで待てない! 今すぐにでも働かないと!___  鳴海は、祈るような気持で何か無いかと茶封筒を探る。  吹きすさぶ無慈悲な冷たい風の中で、今頼りのなるのはこの封筒しかないのだ。  食い入るように覗き込んだA4の茶封筒から、薄い香水の香りがした。  ガサッ!    鳴海は、手にしたそれを取り出す。    B5くらいのモノクロのリ-フレット、そこにはこう書かれていた。
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