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徒歩5分ほどの目的地は、走れば2分ほどで到着する。
ハローワークの裏手にあって、こじんまりとした古びた外観から築年数は先ほどのハローワークよりも更に古い事が分かるその建物はセロハンテープ古びた残骸が窓ガラスに張り付き薄暗い建物内をより外からは見えにくくしていてなんだか薄気味悪い。
どう見ても怪しすぎる外観。
しかし、そんな恐怖よりも今日の米と明日の生活費。
鳴海は、その扉に手をかけた。
「失礼しま~す……」
ぎぃいいぃいいいいいぃいっと、なんとも耳障りなおとを立ててドアは開いた。
きっと、このドアの先に広がるのは世にも恐ろし……が、予測に反し内は意外と綺麗だ。
部屋の中は外観とはちがい薄暗く古びてはいるが掃除の行き届きゴミ一つ落ちていない。
内装も求人検索端末が2機、受付が一つ職業相談案内カウンターが一つ待合ベンチが一つの小さなフロアだが一切の無駄が無い。
そして、あの咽返るような香水の匂い。
「ようこそ」
薄暗い照明の中、金城町子は先ほどよりもにっこりと微笑んでいた。
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