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『怖くない』と、言えば嘘になる。
鳴海は、相談案内窓口に座ったままあたりを見回す。
狭いフロアなので出口まではそう遠くない、鳴海の短い足でも10歩もあればたどり着ける。
___出来れば、今すぐにでも逃げ出したい!____
そんな衝動に駆られながら、鳴海は金城町子の作業を見ていた。
金城町子は、年の割りに以外に素早い動作でパソコンのキーを叩き鳴海の書いたエントリーシートの情報を打ち込んでいく。
(あれ、そう言えば……)
キーボードを滑る金城町子のピンクの爪を見ながら鳴海の脳裏にふと疑問がよぎる。
(この人はどうやって自分よりも早くここにたどり着いたんだろう?)
先程いた職安からここまで、駆けてきたがすれ違ってなんてない筈なのにと鳴海は首をかしげる。
タタン!
ふと、そんな思考を働かせているとリズムよく響いていたタイピングがぴたりと止む。
「さっ、確認しなさい」
そう言うと、金城町子はパソコンの画面をクルリとこちらに向けた。
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