不思議職安

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 「次の方どうぞ!」    ぼんやりしている間に、鳴海に順番が回ってくる。  総合受け付けと書かれた窓口に進み出ると、ばっちりメイクをした受付のお姉さんが少し戸惑ったように鳴海を見て明らかに驚き眉を寄せた。  「今日はどういった御用なのかな?」  訝しげに鳴海を見たお姉さんは、いきなりタメ口で話かけてくる。    「は? 仕事を探しにきたんですけど?」  ___それ以外に此処に何しにくるんだ?___  と、鳴海はイラついたがここは平常心が大切と言葉を続ける。  「え、いや、始めて来たのでどうすれば良いのかと思いまして……」  鳴海の言葉にお姉さんはますます困った顔をして、『ちょっと待ってね』と言うと内線電話をかけ始めた。  窓口横のベンチで待つように言われて小一時間。  案内されたのは、建物の一番奥のトイレのそばにある窓口だ。  整理番号を受けとってすぐに呼ばれたので待たされることは無かったが、人混みを掻き分け窓口に向わなければならなかったので鳴海はうんざりだとため息をつく。  窓口56番。  人混みの中からどうにか自分を呼んだ窓口にたどり着くと、鳴海はキシギシ軋むパイプイスを引いて席に着いた。   
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