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ぴちぴちの胸元のネームプレートには「ハローワークカウンセラー:金城町子」と書かれていた。
「今日は何の御用ぉかしら?」
金城町子は、にっこり微笑み猫なで声でまるで小さな子供にでも話しかけいるように言った。
(なんなんだ? 馬鹿にされたようでむかつく……いや! このくそババァ絶対自分を馬鹿にしている!)
煮えくり返る腸を気力で抑えつけ、にっこりと微笑ながら鳴海は答える。
「私はここに仕事を探しに来たのですが……こちらの窓口を案内されました」
金城町子は少し困った顔をしたようだか、黙ったままさらに唇を吊り上げるので同時に頬にひびが入る。
深い皺の地滑りに、リキッドファンデーションの下地に限界が来たらしい。
「えっと……今日高校の卒業式がありまして、その足でこちらに参りました。 あ……えと、私の学校には進学相談はあっても就職案内は無くって……その……すぐにでも仕事を見つけないと生活に困ってしまうんです」
なおも不気味に黙る金城町子に臆したのか、鳴海は戸惑ったように言葉を続けた。
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