プロローグ

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僕は寝間着を脱ぎ散らかしながらいそいそと制服に着替えていく。さすがにもう二年も袖を通しているだけあって、我ながらアイドルにも負けない早着替えだ。 さて、着替えを済ましている内に次にすべき事を考えなければ。少しでも思考を停滞させれば僕は負ける、朝に。 次に向かった先は洗面所。ここからは普段通りに朝の支度を整えていれば確実にホームルームに間に合わない。なので幾つか手順を省く必要がある。重要なのは如何に清潔に思われるかではなく、不潔に思われないか、だ…言っておくけど今は緊急事態だからであって、普段はちゃんと身綺麗にしてるからね? まずは洗顔、これは実行。目やにとかよだれの跡なんかは目立ってしまうし、女子の前で指摘なんかされたら致命的だ。 タオルで顔を拭きながら鏡をチェック。時間は惜しいけどここで見落としがあっては元も子もない…ん、問題なし。次は髪型だけど、今日は特に寝癖があるわけでもないから省略。でも少し伸びてきたな、前髪が目にかかりそうだ。そろそろ切りに行こうかな…って今はそんなこと考えてる場合じゃない! 最後に歯磨き…これも仕方ないから省略だ。一日三回三分間なんてうたい文句があるけど、今の僕には三分なんてとても割いている余裕が無い。駅でガムでも買ってごまかそう。
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