プロローグ

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慌ただしくリビングを駆け抜ける僕の足は、ふとテーブルの中心に置かれた物に目が移ったことで停止する。 パンか…さすがにトーストしてる時間はないけど、ジャムを塗ってくわえていくだけの余裕ならあるんじゃないか?消費期限もそろそろだった気がするし、今は梅雨の真っ只中だからカビが生えやすい。 …いや、やっぱり止めとこう、パンをくわえながら「遅刻遅刻ー!」なんて、フラグもいいところだ。しかもこれは女子用のフラグであって、女の子が好きな健全的な一般男子の僕としてはヤローと運命的な出会いをしても面白くもなんともない。 「なんて…考えてる場合じゃない!次の48分逃がしたらおわりだ!?」 革靴を履いて、家の鍵を掛けて、後は猛然と駅までひた走る。 この頃になると、僕は今朝の夢の内容なんて気にも留めなくなっていた。
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