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多くの日本人が紋章というものを見知ってはいても紋章官というものは知らないように、彼女も祖父が何者であったのか、また僕が何に囲まれてここで生活しているのかは、いまいちピンときてはいないだろう。
実状を兼ねた経過報告だ。僕はブラスラビングセンターに赴くことにした。
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催し物があるという割には、センターはさして混んではいなかった。
ガイドブックでもお馴染みの有名な広場が目と鼻の先にあるにもかかわらず、不思議とその日は閑散としていた。立地としては悪くないはずだけれど、返ってそれが盲点になっているのかもしれない。
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