序章

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序章

深夜に降りしきっていた雨が、いつの間にか風がうずまく豪雨に変わり、時折、闇夜を暴れる稲妻は、まるで根を生やすかの様に雲を這って横に伸びた。 その稲光に照らされる雲は、渦を巻いて広がっていて、不気味にうごめいているかの様にも見えたた。 大粒の雨が叩きつける西洋風の城の最上階の広いテラスで、二つの人影だけがが対峙していた。 一人目の影は、赤いローブで身をまとった白ひげの男が刀を構えている。 もう一人の影は、真っ黒なフードに身を包みじっとたたずんでいる。 赤いローブの男の顔は、険しい表情で雨にまみれ、濡れた頬を震わせながら血走る目で相手を睨んでいる。 「お前はファミールではないな!ファミールをどこへやった!」 構えた剣は相手の胸を狙っていたが、手元が震えて定まらない。 黒のフードの奥から、不気味な低い声がボソボソと聞こえた。 「?〆‰⇔∵§★∈⊥♯…」
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