第1話

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「ここどこ……?」 「さぁな……」 その人の方を見ると、僕と同じように、背中の柱に両手両足を縛られていた。 その人の顔は、髭面で、頬はひどくやつれ、傷だらけ。 結構なおじさんだった。 「お前、名前は?」 僕はうっかり、自分の名前を思い出そうとしてしまった。 すると、こめかみに釘を刺されたような痛みが走った。 「イタタタタっ!」 「ダメなんだ……思い出そうとするといつも頭が痛くなるんだ……思い出したくない……」 「なんだ……お前もそうなのか……」 「私はな、何故ここにいるか……それすら覚えていない……」 そうか。このおじさんも同じで、思い度せないんだ……ひょっとすると、仲間……かな? 僕はなんとなく、自分の事を話してもいいような気がした。 「僕は、4日ぐらい前までしか覚えてないんだ。牢屋でご飯を食べた後、すごく眠くなって……気づいたらここにいた……」 「そうか……牢屋か……そうすると私たちは罪人と言うことか……」 「おい……あれを見ろ……私たちの成れの果てだ。」 顎で何かを指し示した。
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