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「ここどこ……?」
「さぁな……」
その人の方を見ると、僕と同じように、背中の柱に両手両足を縛られていた。
その人の顔は、髭面で、頬はひどくやつれ、傷だらけ。
結構なおじさんだった。
「お前、名前は?」
僕はうっかり、自分の名前を思い出そうとしてしまった。
すると、こめかみに釘を刺されたような痛みが走った。
「イタタタタっ!」
「ダメなんだ……思い出そうとするといつも頭が痛くなるんだ……思い出したくない……」
「なんだ……お前もそうなのか……」
「私はな、何故ここにいるか……それすら覚えていない……」
そうか。このおじさんも同じで、思い度せないんだ……ひょっとすると、仲間……かな?
僕はなんとなく、自分の事を話してもいいような気がした。
「僕は、4日ぐらい前までしか覚えてないんだ。牢屋でご飯を食べた後、すごく眠くなって……気づいたらここにいた……」
「そうか……牢屋か……そうすると私たちは罪人と言うことか……」
「おい……あれを見ろ……私たちの成れの果てだ。」
顎で何かを指し示した。
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