ナナ・海

5/5
前へ
/35ページ
次へ
それでまた砂浜に降りて、今度はカタリーノ! ツトムの学生時代の話とか、私の子どもの頃の話をしたの。 親の話とかもね。 ツトムの家は美容室で、俺も美容師を目指したことあるからカットできるよだって。 その時ふと、奥さんはカットしてもらってるのかなって思ったら切なくなった。 ちょっと暗い顔したからツトムが気にして 『どうしたの? 俺、なんか変な話した?』 『ううん‥』 『じゃあどうしたの? 帰りたくなっちゃったの?』 ツトムにそう聞かれて 『帰りたくなんかない。 ただ‥奥さんの髪をカットしてるのかなって考えたら、哀しくなったの。』 自分でもビックリしたけど、そう言いながら涙がポロッてこぼれちゃった。 ツトムもビックリして、すぐに私を抱き締めて 『バカだな。 そんなことしてないよ。 俺が好きなのはナナだけって言ってるだろ? ね?俺を信じて。 俺さ、信じてもらえるか分からないけど、ナナに逢って、ナナのこと好きになってから、チエコとキスもしてないんだよ。 頭の中がナナでいっぱいなんだから。 俺はナナの笑顔が大好き。 天使みたいだなって思った。 だから泣かないで。 俺はナナだけのものになるから。』 私はただただ泣いた。 思っていた以上に、ツトムを好きになっていた自分に泣いた。 そして…ツトムの愛が伝わってきて泣いたの。 ツトム、信じるよ。 私からキスしながら、ツトムの首に爪をたてた。 私のモノって証だよ。 それから… 『2人っきりになれる場所に行こう』 って言われて、車に戻ったの。 うん。 今日は覚悟してきたよ、ツトム。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加