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一通目を開けると添付されてる写メが3通。
水族館の入り口から撮られた海の写メ。
遠くに船も写っていて、キラキラとキレイに撮れています。
二通目はやはり海がバックでしたが、端にナナが写っていました。
カメラとは違う方向を向いて満面の笑顔。
恐らく彼女の視線の先には、ツトムがいるのでしょう。
三通目には、水族館の入り口のモニュメントが写っていましたが、ツトムが笑顔で走り出しそうな姿が写っていました。
ナナの方へ走り出そうとしてるの?
『やっぱ俺、写ってるじゃん!』
ちょっと照れながら言ったツトムを振り返る事が出来ずに
『随分、楽しそうね』
それしか言えませんでした。
他のメールは水族館の中の展示物と、そして、イルカショーを楽しそうに見ているツトムとナナの、斜めから撮られたツーショットがありました。
『これ撮ったの知らなかったなぁ』
ツトムの言葉の端に、困った色がありました。
『なんだかデートしてるカップルみたいに見えるね』
私がそう言うと
『あれ?チエコ、ヤキモチ妬いてる?』
『別に。
ただ、最近わたしには見せない笑顔だなって思っただけ。』
そう言うとツトムは私を後ろから抱きしめ、耳元で
『チエコがヤキモチ妬くなんて可愛い!
チエコがいつも、会社の人は大切にしろって言うから、楽しませただけじゃん?
俺が愛してるのはチエコだけだよ。』
そう言うと、私の胸に手を差し込んできました。
『そうね。
でも浮気だけはダメ。
絶対に許さないから…』
私の言葉は、ツトムの唇で途中から消されてしまいました。
ツトムとナナの笑顔の映し出された画面の前で、私はツトムに裸にされました。
そのままリビングで私たちは愛し合ったのですが、画面の中からナナが睨みつけている様で、私は寒気さえ感じました。
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